働き方

テレワークで建築はどうなる?業界の未来について考えてみた

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非常事態宣言が解除されて少しずつ元の生活が戻りつつあります。いかがお過ごしでしょうか。

ニュースの報道では最近は新しい生活様式(ニューノーマル)についての話も出始めてきました。完全に元の生活に戻すのではなく、ニューノーマルに適応していこうというものです。

今回の件で果たして、テレワークという新しい勤務スタイルが企業全体に定着するのでしょうか。おそらく厳しいんじゃないかと考える人が多いと思います。

かつて、東日本大震災が起きた後もこれからはテレワークの時代だ、なんて言われていましたが、実際導入している企業は2割程度にすぎませんでした。

コロナウイルス感染拡大を受けて、在宅勤務を導入した企業がこれからも続けるかと言われると、微妙な気がします。このあたりについては別の記事でも触れています。

ただ、今後の建築業界のビジネスモデルには少なからず影響を与えると考えています。

これから建築業界に就職することを考えている人、今建築業界で仕事をしている人の参考になれば幸いです。

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テレワークの今後の予想

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ウイルスの感染拡大が収まったら、おそらく大半の企業は出社勤務に戻ると思います。既に出社を再開して満員電車を経験している人もいるでしょう。

テレワークが完全に定着するのは難しく、全体の2割のままに留まる可能性が高いと思います。もちろん、業態的にテレワークができない仕事もあるので100%になることはあり得ないのですが、業務内容的にテレワークが可能なのにやらないのはもったいない気がします。

働く人を対象とした調査レポートから読み解く

5/11〜5/13にかけて(公財)日本生産性本部というところが「働く人の意識調査」という調査を行っています。

この調査レポートから、自宅での勤務で効率が下がったという人が全体の6割程度いるにもかかわらず、自宅での勤務に満足している人が6割弱いるということがわかり、大きな話題を呼びました。

母数が1,100人なので統計の母集団としてはやや弱いですが、生産年齢別に程よくばらけており、単身者や子育て世帯などのバランスも悪くなかったので、信頼していい情報かなと思います。

この調査から、課題はあるもののテレワークに肯定的な人が多い印象を受けました。なので、企業が導入するしないにかかわらず、働く人の意識はテレワークができるかどうかに向いていると考えていいでしょう。

この調査も第1回ということなので、今後の動向に期待したいですね。

テレワークを積極的に採用している企業に人が殺到する?

調査レポートで6割の人がテレワークを受け入れているのに導入している企業が2割しかなかったら、当然、企業に対する不満は高まりますよね。

実際、勤めている企業の体制に嫌気が差して転職活動を始める人が出ています。

Aさん
Aさん

え、今って失業している人も増えていて企業の採用枠も減らしているから、転職に不利なんじゃないの?

ゆるカピ
ゆるカピ

確かに、大手の採用枠は減ってるらしいけど、オンラインで面談ができるから気軽に転職活動しやすくなってるのも事実だよ。

ヒューマンタッチ総研の独自調査(4/3〜4/10調査)によると、3割程度の人が新型コロナウイルスの感染拡大は「転職活動に影響を与えた」と答えているそうです。

出典:建設転職ナビサイト「ヒューマンタッチ総研独自分析レポート」より抜粋

逆に6割の人には影響していないとも読み取れます。今はZoomなどを駆使してオンラインで気軽に面談できるため、転職活動のハードルはむしろ下がっています

テレワークを継続することを決定している企業へ応募する人も少なくないと思います。応募者が殺到している、なんてことも起こるかもしれません。

私自身、キャリア相談のために転職エージェントを利用しています。自分がこれからどんなキャリアを進んでいったらいいかって、なかなか職場の人に相談できないものです。

すぐに転職するつもりがなくても、無料で相談に乗ってくれるので利用しないともったいないですよ。あなたが20〜30代なら、無期限で利用できるマイナビエージェントがおすすめです。

大規模オフィス関連の仕事は減少する

日本はまだまだ持ち家の人が多いので、働く人の移住はそこまで進まないと考えられます。なので、東京のオフィスやマンション需要が全くなくなるということはなさそうです。

ただ、コロナ禍の影響を受けて、資金力に余裕がない企業の間でオフィスの解約の動きが出始めているそうです。

また、在宅勤務を実施してみて、わざわざ都心のような一等地にオフィスを構える必要がないとオフィスの立地の見直しを検討する事業者は少なくないのではないでしょうか。

こういう背景から、リーマンショックの頃と同様に、オフィス需要は減ると予想されます。一度減った後再び需要が増えるかと言われると、正直難しいんじゃないかと思います。

都心の大規模開発の設計は冬の時代が来る?

都心の大規模オフィスやタワーマンション開発は、大手デベロッパーや大手ゼネコンの稼ぎ頭で、設計に関しては大手組織設計事務所の主力の稼ぎになっています。

オフィスビルやタワーマンションは同一プランを積層するだけなので、設計の中では利益率が高いとされています。また、この手の開発では周辺の商業施設の開発もセットになっていることが多いので、大幅にオフィス需要が減った時にどの分野で売上げを伸ばしていくかが課題になってきます

設計のノウハウを生かしてコンサルティング業務をやってみたり、BIMに関連するツールの開発や設計のAIで行う先駆者としてICT技術に力を入れたり、と売上げを伸ばす方法はいくつかあると思います。

うまく対処しないと、企業としての存続が危ぶまれるところも出てくるでしょう。

これから大手企業に就職して、大規模開発や超高層ビルの設計をやりたいと思っている人は、このあたりを考えたうえで就活に臨んだほうがいいでしょう。

シェアオフィス需要は増加する

今回のコロナ禍で、子育て世帯を中心にテレワーク疲れになりやすいことがわかってきました。小さなお子さんがいるご家庭は、在宅勤務になるとかえってストレスが溜まってしまうという話はよく耳にします。

先日、NewsPicksのWEEKLY OCHIAIを観ていたら、テレワーク疲れの特集が組まれていて衝撃を受けました。

3歳から8歳のお子さんを育てている家庭環境で集中できている時間の割合は「25〜45%」で、単身でテレワーク環境が整っている人たちの場合は「65〜85%」と大きな開きがあることがわかったそうです。

また、仕事の集中の問題に関しては、コロナショック前後で問いが変化しているようです。

「どうやったら仕事に集中できるか?」

「どうやったら仕事から抜け出せるか?」

うまくオン・オフの切り替えながらバランスをとっていく必要が出てきたということです。これをハード面で解決してくれるのは、シェアオフィスということになると思います。

新型コロナウイルスの終息とともに、子育て世帯を中心にシェアオフィスの需要が高まると予想されます。

都心から少し離れた郊外を中心に徒歩5〜10分圏内のシェアオフィス需要が出てくるのではないでしょうか。最近は駅前とかに筋トレジムが出てきましたよね。あんな感じの中小規模のシェアオフィスが登場すると思います。

短期的に稼ぐ→中長期的に稼ぐへのシフトが加速する

シェアオフィスって規模も小さいし儲からないんじゃないのと思うかもしれません。

しかし、シェアオフィス単体を作るのではなく、周辺地域のコミュニティも同時に作ると考えたらどうでしょうか。

大規模開発は、開発に欠けた費用を半年から1年という短期間で回収するのが一般的とされています。しかし、これからは都心からちょっと離れた郊外で、中長期的な戦略をもって段階的に開発を進めていく事例が増えてくるのではないかと考えています。

テレワークの普及による建築のビジネスモデルの転換
  • フェーズ1
    郊外にある徒歩10分圏内のシェアオフィスで仕事をしたい人の需要が増える。
  • フェーズ2
    シェアオフィスで働く人同士の地域コミュニティ需要が高まる。
  • フェーズ3
    地域コミュニティ内の経済圏が生まれる。

短期的に儲けを回収するのではなく、長くコミュニティを形成しながら中長期的に儲けを回収していく、そんな考え方にビジネスモデルがシフトしていくかもしれません。

このあたりの建築と都市の関わりの話題って、建築関係の人にとっては好きなテーマなのではないかなと思います。卒業制作とか就活生のポートフォリオでよく見ますし...。

テレワークが進み、シェアオフィス需要が高まれば、卒業制作で思い描いたようなプランを実施できる未来がやってくるかもしれませんね

建築の未来は意外と明るい?

シェアオフィスの需要が増える話や建築のビジネスモデルが変わる話は若干想像が入っているので、当たらずとも遠からずな結果に落ち着くかもしれません。

ただそうなってくれたら、斜陽産業とも言われている建築業界にも明るい兆しが出てくるんじゃないかなと考えています。短期的に金儲けがしたい人にとってはオワコンかもしれませんが...。

今日はこの辺で終わりたいと思います。それでは、また。

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