こんにちは、ゆるカピ(@yurucapi_san)です。
あなたはこんなことを疑問に感じたことはありませんか?
一級建築士試験の設計製図って、なんでRC造で考えるの?
資格学校の解答例や試験元の標準解答例を見ると、すべて鉄筋コンクリート(RC)造で計画されていることがわかります。
受験生のあなたも周りの人がRC造で計画しているからなんとなく、という感じでRC造を選んでいるかもしれません。
例年の課題文を見ると、特に構造種別をRC造に縛っているわけではないことがわかります。意訳すると構造種別は適宜決めてね、という感じで書かれています。
ちなみに、大昔は一部SRC造指定の問題が出題されていたらしいよ。
それでも、みんながそろいもそろってRC造を選ぶ理由はどこにあるのでしょうか?
私の簡単なプロフィールです。
今回は、製図試験でRC造が選ばれる理由を深掘りしつつ、どういう姿勢で本試験にのぞんだらいいか解説したいと思います。
結論を言うと、プランを立てやすいから、が理由になります。
鉄筋コンクリート造が採用される理由
製図試験は、わずか6.5時間で課題文に対する提案のための要求図書をまとめる必要があります。
であれば、少ない時間でエスキスできるように、なるべく制約がある構造種別を選んだほうが対策が立てやすいです。
鉄筋コンクリートにはスパン割などの制約があります。
スパン割などのルールが試験前にわかっているので、構造要件をそこまで気にすることなく空間構成のエスキスに集中できます。
制約があると自由度が下がって不利にならない?
制約があると、設計の自由度が下がり不利になるイメージがあります。しかし、実際はそんなことはありません。
例えば、俳句や短歌をイメージしてください。
- 5•7•5や5•7•5•7•7といった文字数制限
- 必ず季語を入れるという縛り
今でいうと、140文字制限のTwitterが当てはまるね。
ルールや制約があるからこそ物事を決めやすい、というのがあります。
制約があればその条件下で物事を考えるようになり、結果決めやすくなるというわけです。
製図試験は早さが求められます。
短時間で要求内容を整理して図面に落とし込む必要があるため、制約があるほうが有利といえます。
RC造は構造的な制約でプランが決まる
RC造は自重の比率が高いため、ほぼ自動的に経済的に最適なスパン割、梁・柱などの断面情報が決まります。
- 経済性を考えて柱1本あたりの負担可能な床の面積は約50㎡
- スパン割は7m × 7mが標準
- 梁断面:500 × 800、柱断面:700 × 700
吹き抜け空間やプレストレストコンクリート(PC)梁がかかる柱断面は、800 × 800に割り増ししておけば大丈夫。
柱のスパン割がプランの起点になるため、構造的な要件を気にすることなく比較的自由にプランを考えることができます。
鉄骨造で設計する時に気をつけること
ここまでRC造にする理由をまとめたら、わざわざ鉄骨造を選ぶ理由はないでしょう。
ぶっちゃけ鉄骨造は、
- 間口が極端に狭いなどの狭隘な敷地
- 地盤が軟弱で建物重量を軽くする必要がある敷地
といった厳しい敷地条件で真価を発揮する構造です。
ほかの構造だと成立しない、厳しい場合でも設計できてしまうのが鉄骨造。
要は材料としてめちゃ優秀ってことです。
製図試験にあるような、整形な敷地で規模もそれほど大きくない建物にはあまり適していません。
それでも鉄骨造で設計してみたい場合は、以下の点に気をつけましょう。
スパン割は5mと書きましたが、3mにしてもいいし6mにしてもいいです。
また、経済性を優先するなら、スラブ厚200mmはやや過剰なので、合成デッキなどで薄くすることも視野に入れる必要が出てきます。
ここまで書くと、
うわっ、なんか難しそう•••。
と思うのではないでしょうか。
よほど鉄骨造を愛していて短時間でプランを練ることができる人でない限り、おすすめできません。
あとは、周りの人に質問しづらいのが一番のデメリットかな。スキルアップできないし、試験勉強には向かないと思う。
細かな構造要件よりも、まずは施設計画を優先しよう
製図試験は、あくまで空間構成を問う試験です。
わずか6.5時間のうちに、あらゆる要件を満たした図面と計画の要点をまとめないといけません。建築の施設を設計するのだから、ゾーニングと動線計画が破綻しないことが最優先になります。
もちろん、
これらは一発アウトになる可能性が高いです。
細かな構造的にOKか微妙かのさじ加減はどう決まる?
残念ながら、細かいレベルの構造的にOKか微妙かの線引きは明らかになっていません。
- 片持ちスラブの出の長さ3m
- 片側に偏心した吹き抜け空間
実際、出の長さ3mだと上下動1Gにも耐えるようにする必要があるため、スラブ厚200mmではNGになる箇所があるかもしれません。また、吹き抜けにしたために建物のバランスが悪くなって偏心率がNGになることもあるでしょう。
ただし、実際に計算して確かめることは求められていないため、パッと見で構造的におかしくないような図面にしておく、でいいと思います。
例えば、吹き抜け空間の場合は、
- 吹き抜け空間の割合を平面図のうち1/4〜1/3くらい
- 吹き抜けは1つの階に2グリッド分まで
に抑えておくなどのルールを作っておくといいでしょう。
特段、細かく悩む必要はありません。それよりも、施設計画が破綻しないようにエスキスに力を入れたほうがいいです。
まとめ
製図試験でRC造を採用する理由について、自分なりの解釈をまとめてみました。
結論をまとめると、短時間で製図試験のプランを考えるなら、RC造にするのが最も合理的です。
製図試験は6.5時間しかありません。
できる限り、本試験で使えるようにRC造に関する知識を事前準備をしておきましょう。
それでは、また。
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